2016年度のプログラムが終了しました(更新日:2016年12月21日)

(国内調査)地域固有の文化や地域資源を生かしたまちづくりの取り組み ~大分県別府市~

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調査先:大分県別府市
調査日:2010年9月17日~19日
文責: 岩手県北上市 髙橋直子(研修生)

目的
 大分県別府市は人口12万人、温泉の源泉数・湧出量共に日本一であり、豊富な温泉資源により国内外から観光客が訪れる国際観光温泉都市である。しかし、旅行形態の変化等により昭和51年以降、観光客数は長期低迷傾向にある。そういった現状の中、地域固有の文化や地域資源を生かしたまちづくりの取り組みを学ぶことが今回の調査の目的である。別府を発信地として全国に広がるまちづくりのモデル、「オンパク」手法を学ぶとともに、まちづくりに取り組む多様な主体の活動を知り、別府市のまちづくりにおける普遍性を探る。

行程
9月17日 ・別府八湯ウォーク「竹瓦かいわい路地裏散歩」に参加 (別府八湯語り部の会ボランティアガイド・土田氏にインタビュー)
       ・オンパク事務局訪問 野上泰生氏にヒアリング
       ・別府八湯ウォーク「竹瓦ゆうぐれ散策」に参加
9月18日 ・野上氏ガイドによる路地裏歩き、竹瓦・北浜エリアをまち歩き、platform08(やよいぷらはち)を訪問 (川浪氏にインタビュー)
9月19日 ・別府八湯ウォーク「鉄輪湯けむり散歩」に参加 (鉄輪エリアのまちづくりに関わる人にインタビュー)


調査結果takahashi1.JPG
 別府のまちが徐々に衰退し始めたバブル景気後の平成10年頃に、まちを活性化したい、守っていきたいと考えるメンバーが「別府八湯竹瓦倶楽部」を竹瓦地区で結成し、まちづくり活動の発端として、まちを知るためのまちあるきツアーを始めた。これが現在の「路地裏散歩」のはじまりである。
 この別府八湯竹瓦倶楽部の中心メンバーが、まちあるきを発端としたまちづくり活動を派生させ、別府八湯温泉博覧会(オンパク)を主催するNPO法人ハットウ・オンパクのような新たな組織とまちづくり活動へと発展させていった。
 平成13年に始まったオンパクは、年に2回・約1か月間、温泉・健康・自然・散策・食等の地域資源を活かした、約100を超える温泉地体験型プログラムを実施している。プログラムは、地元の中小企業や個人事業主、まちづくり組織等の団体・個人等によって提供される。オンパクプログラムは、「地域固有の文化や資源を生かした地域の持続的な成長を目指し、温泉を核にしたウェルネス産業を起こすこと」を目的としている。
 オンパクで観光客や宿泊者が増えたかと言えば決してそうではないが、別府のファンとまちづくりに参加する人・巻き込まれる人が増えた。オンパクを通じ、一般市民もまちづくtakahashi2.JPGりに参加するようになったそうだ。
 平成19年から、経済産業省の補助事業により「オンパク(地域の輝き見本市)人づくり事業」を開始。全国で「ジャパン・オンパク事業」が展開され、現在、全国8地域がプラットフォーム化されている。
 別府には、「別府八湯」と総称する八つのエリア(別府・鉄輪・観海寺・浜脇・亀川・柴石・堀田・明礬)の温泉郷があり、それぞれの地域ごとに特色を生かしたまちづくりが行われている。地域の活動団体やテーマごとの活動団体が、プロジェクトごとに連携をとっている。(主な団体:ハットウ・オンパク、別府八湯トラスト、BEPPU PROJECT、鉄輪ゆけむり倶楽部、別府八湯語り部の会、アチチ中央銀行など)

考察
 別府滞在中、出来る限りのまちあるきプログラムに参加したが、地元のガイドボランティアの方の話を聴きながら歩くのと、takahashi3-c.JPG土地勘がないまちをガイドブック片手に歩くのとでは、目に映る景色が全く異なった。地元の方(土の人)が語るまちの物語を知ることで、訪問者(風の人)にとってはその土地で過ごす時間が特別のものとなった。
 マップや温泉スタンプラリー(スパポート)、地域通貨(湯路)、日常的なまちあるきプログラム等、「歩いてもらう」「まちを回遊してもらう」楽しいしかけが巧みに用意されている。
 「まちあるき」をすることで、まちに暮らす人がまちを知り、まちの魅力を再発見し、その過程から「まちの誇り」を取り戻している。その結果「まちあるき」が「まちづくり」へと発展している。「まちあるき」がまちづくり活動のきっかけや第一歩となっているのである。
 オンパクは、強力なリーダーや特別な何かがなくても、地域資源や地域住民の技を活かし、まちの活性化ができる仕組みである。オンパク手法は全国各地から注目を浴び、地方の活性化のため「ジャパン・オンパク事業」として別府以外の地域でも取り組まれている。
takahashi5.JPG オンパクの多様な主体による主な活動は民間主導であり、現在の別府のまちに危機感を抱き、まちへの愛着を持つ人々が主体的に活動を行っている。

感想
 鉄輪湯けむり倶楽部のボランティアガイドの方の、「ずっと住んでいると当たり前のことを忘れてしまう。まちあるきはまちの良いところを思い出させてくれる。」との言葉が深く心に残った。
 まちあるきで一緒になった地元在住の参加者の方が、参加した理由として「市外の友人に別府のまちのことを聞かれたときに答えられないことが多かったから」とおっしゃっていたが、まちあるきプログラムは地元住民が自分の住むまちを学び直すきっかけにもなっていた。
 さまざまな組織でまちづくりに取り組む方々にインタビューを繰り返したが、活動のバックグラウンドやテーマや役割が異なっても、詰まるところ目指すのは別府の活性化であり、別府のまちへの愛着と思いをそれぞれがそれぞれの言葉で語ることに魅力を感じた。
 「自分のまちを自分の言葉で語れるか。自分のまちをどれだけ知っているか。」ということを自分自身に突き付けられた調査となった。