2016年度のプログラムが終了しました(更新日:2016年12月21日)

町や村の元気をつくる地元学のすすめ

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講師:吉本哲郎(地元学ネットワーク主宰)
講義日:2010年9月4日(土)
文責:週末学校事務局 冨澤太郎

「あなたはどこまで地元を知っていますか?」
36名の研修生は、yoshimoto2.jpgそれぞれの地元に関する30の質問(「環境クイズ」)に事前に取り組んだうえで、本講義に臨んだ。
環境クイズの一部は次のとおり。
・ あなたの家で飲んだり使ったりしている水は、どこから来てどこへ行っていますか?
・ あなたの家では、蒸し暑い夏、寒い冬を過ごすためにどんな工夫をしていますか?
・ あなたの住んでいる所にある畑や田の土はどのようにしてつくられたものですか?
・ あなたの住んでいる所で、昔から信仰している自然神はどのようなものですか?

まず、研修生はグループに分かれ、それぞれの調べてきたことを発表した。その後、環境クイズに答えるに当たって「驚いたこと」、「気が付いたこと」を互いに話し合った。環境クイズは至ってシンプルなものばかりだが、意外に答えることができず、自分の地元についてほとんど知らないことに気付いた、という声が多く聞かれた。また、当たり前に思っている地元の風習が、外部の人にとっては面白かったり、驚いたりするということも浮き彫りになった。

「あなたはどこまで地元を知っていますか?」。ごく簡単な質問だが、意外と自分の地元のことを知らないものである。地元学とは、「ないものねだり」ではなく、「あるもの探し」を自分たちで行い、「あるもの」同士を新しく組み合わせ、新しいものをつくり、町や村の元気を作っていくことである。なぜなら、新しいものをつくっていない所は衰退するからである。

吉本氏に、「あるもの探し」をする際の重要なポイントを教えていただいた。

1. よく知らないことを知る
―何事も「足元のことを、よく知らないことを知ること」から始まる。知らないことは恥ではない。知ろうとしないことが恥なのである。
2. 生活を調べる
―他人や市民にものを言う前に、まずは自分の生活から調べることだ。
3. 人は、面白いこと、楽しいこと、おいしいこと、得することからしか覚えないし、身につかないし、行動しないものである。
―人間は楽しいことに引きつけられる。そこからしか運動は広がらない。
4. 地域の持っている力、人の持っている力を引き出す
―外から来た人には行儀作法がある。それは教えないで、地域と人の持っている力を引き出すことだ。引き出すためには「驚くこと」、「質問すること」である。そうすれば地域と人の持っている様々な「力」を引き出すことができる。難しいことではない。
5. 耳を傾ける、問いを発する、自分の言葉で語る
―事実に驚いてそれはなぜかと深く考えることだ。そのためには、耳を傾け、問いを発し、自分の言葉で語っていくようにしたいものだ。でも耳を傾ける対象は、人間だけではない。空も、川も、山も、石も、植物も、太陽も、月も、風も、昔からある大きな木なども実は語っている。ただ日本語ではないだけだ。しっかりと耳を傾け、問いを発し、かわりに語っていきたいものだ。

yoshimoto1.jpg6.地域に「何もない」ことはあり得ない。
―地域に「何もない」ことはあり得ない。もしあったとしたら世界遺産だ。何もないとは、地元の人にとって「よそにないものがここにはない」、あるいは「大量にない」ことを言っているようだ。よそにもあり、ここにもあるもの、普通にあるものは、目に付きにくいものだ。当たり前にあるものは、当たり前のことではないことに気づいていきたいものだ。そのためには、外部の人のまなざしを取り入れることも重要であろう。外部の人の「これは何? 何に使う? 面白い! 驚いた!」などがきっかけになり、新たな発見が生まれるはずだ。

吉本氏には、行政職員が自らの地域を知らなくては何も始まらないとの指摘をいただいた。まずは自らの地域を見つめ直すことで、それぞれの地域の豊かな文化や生活が見えてくる。そこから本来の地域の独自性や豊かさが再認識され、あるものを新しく組み合わせたりする創造的な行為が、地域それぞれに起きていく。そこから、ひいては日本を元気にしていくことにつなげていきたいものだ。

 

 

 

関連レポート

2011年度
・ 「研修生の『地元学』」 吉本哲郎 (レポート)
・ 「地元学の実践」 吉本哲郎 (レポート)