2016年度のプログラムが終了しました(更新日:2016年12月21日)

地方議会の現状と展望

キーワード:

講師:中尾修(東京財団研究員、前栗山町議会事務局長)
講義日:2010年5月15日(土)
文責: 新潟県見附市 田伏由夫(研修生)

全国初の議会基本条例の制定に尽力された前栗山町議会事務局長(東京財団研究員) 中尾 修氏が、二元代表制における地方議会のあるべき姿と現状の問題点、議会基本条例に定めるべき内容、議会事務局の役割について説きました。

○地方議会の制度
首長・議会はともに選挙で選ばれますが、そこに表れる民意にはずれが生じます。この2つの機関が民意をめぐって競争するというのが二元代表制です。首長は市民参加を求めますが、議会も機関として民意を汲み取る努力をするのは当然です。本来、議会こそ民意を汲み取る事が得意技なはずです。ですから、議会は首長への支持不支持で議案への対応を決めるのではなく、是々非々を貫き、首長に対しては全野党的に対峙すべきです。
一方で市民にとっては、議会は議員の選挙活動以外イメージがつかめないという問題があります。これは選挙後、議会が機関としての活動を行っていないためです。議会は議案の審議経過へ自らの報酬や政務調査費の使い道など活動実態を報告し、機関(全体)として市民と向き合い説明・議論しなければなりません。

○欠けていた市民との直接対話
夕張市の破綻から議会の議決責任が注目されるようになりました。しかし、今の法律では議会の責任について担保されていません。議会は議会報告会を開催し、機関として自らの決定プロセスを市民に説明することで議決責任を果たす義務があると考えます。しかし、議員の多くは市民の苦情・批判・糾弾を恐れ市民の前に出ることを嫌がります。そのような姿勢では、市民から議会の存在そのものが否定されてしまうと思います。
議会報告会の重要性として、市民の知る権利に応えること、議員の資質の向上・修練につながること、さらに個別の問題から将来を見据えた地域経営という視点で議会と住民が話し合うという大きな変化が生まれています。そのことから地域全体の将来を考えた議員を選ぶという住民の変化が期待されています。

○制度疲労している地方議会の運営ルール
2000年の地方分権一括法の制定から地方の自立が言われ、また政権交代により国の制度も大きく変わろうとしていますが、大半の議会運営は従来のままです。今後は事業仕分けの実施など含め、独自の手法で議会改革を進めることを考えなければなりません。
また、議会は決定行為よりも、その審議経過の持つ実質意義を重く考えるべきです。決定に至るまでに議員間での議論、市民参加、専門家の活用などのプロセスを経て徹底的に検討すること、そのプロセスを市民に見せていくことが必要です。

nakao_report2.jpg○議会基本条例
現在全国で議会基本条例が増えていますが、単なるトレンドでは本来地方議会があるべき姿は実現されません。議会基本条例には、議会が市民と向き合い徹底した情報公開と市民参加を確保するために、①議会報告会、②請願・陳情者の意見陳述、③議員間の自由討議、の3要件は必ず明記すべきです(詳しくは、議会基本条例「東京財団モデル」を参照)。従来の議会は行政に対しての質問だけで、議員同士の議論(自由討議)はされてきませんでしたが、本来は徹底的な議論がなされなければなりません。

○議会事務局の役割
議会事務局は、議会に協力をして首長と対峙する議会を支える必要があります。議会の改革を進めるうえで、議員と事務局職員の共同作業に取り組める体制の維持が議会改革の成否のカギとなっているといえます。ですから、議会事務局長ならびにその職員は、議長が任命した人材が、その任にあたるべきでしょう。そのためにも事務局職員の独自採用(広域・県レベル)を検討すべきです。

当日配布資料

地方議会の現状と展望(PDF)