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地方財政と自治体財政を読み解く

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講師:兼村高文(明治大学公共政策大学院 ガバナンス研究科 教授)
講義日:2010年5月28日(金)
文責: 東京都町田市 N. T.(研修生)

1. 国と地方の財政現状について読み解くkanemura_1.jpg
○ 国の財政~平成22年度予算のポイント~
まず、国の財政の現状についてお話をします。平成22年度一般会計の当初予算は92兆円で過去最高規模です。財源としては、国税が37兆円、公債金が44兆円で借金に頼っている状態です。なお平成21年度(麻生内閣)は当初予算88兆円でしたが、補正予算を2回組んだ結果、予算ベースで102兆円でした。また平成22年度特別会計の当初予算は、歳出総額367兆円ですが、会計間の重複等を差し引くと純計では176兆円です。

○ 地方の財政~平成22年度地方財政計画、地方財政対策~
平成22年度地方財政計画の歳出総額は82兆円です。地方財政計画は国が示す地方財政運営の指針であり財源を保障するものです。地方税として33兆円を見込み、標準的な行政サービスで不足する一般財源として地方交付税を17兆円計上しています。また地方債は13兆円を発行予定しています。なお平成22年度の地方財政は18兆円という巨額の財源不足を見込んでいます。国はその財源手当を地方財政対策で示しています。
22年度地方財政計画のポイント(総務省自治財政局)
22年度地方財政対策のポイント(総務省自治財政局)

民主党は、国からの特定補助金の一般財源化や交付税制度の抜本的改革をマニフェストにあげています。2011年度から一括交付金を導入し「地域主権国家」の樹立を目指しています。しかし、一括交付金化の対象としている特定補助金のうちほとんどが義務教育や社会保障関係であるため、実際に一般財源となる補助金はそれほど多くありません。逆に、一般財源化することで自治体によってサービス水準にばらつきが生じ、ナショナル・ミニマムを維持できなくなる可能性があります。一般財源化すること自体は問題ではありませんが、自治体間にサービス格差が生じるのは問題です。どのようにサービスの水準を維持するのかをしっかりと議論する必要があると考えられます。

2. 自治体財政を読み解きどう活用するか
○ 財政分析の目的~健全な財政の確保と予算の効率化・有効化~
自治体の財政運営は、「財政の健全な運営」、つまり収支の均衡、財政構造の弾力性、持続性、自主性などが確保されていることが求められています。財政分析は、これらをチェックし、健全な財政運営が行われているかどうかを検証します。

○ 自治体の決算を読み解く~決算統計の分析~
「決算カード」(決算統計の地方財政状況調査票を整理して一枚表にしたもの)を見ましょう。人口、面積、産業構造等、様々な情報が掲載されています。決算カードを読むポイントは「財政指数」等です。財政がどんな状況にあるのか、指数をみることで概略がつかめます。
決算カード(平成20年度 町田市)
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○ 自治体の財務書類を読み解く~新公会計モデルの財務書類分析~
自治体財政は現金主義を採用していますが、会計情報としてはストックや正確なコスト情報がえられず不十分です。そこで、企業と同じような財務書類を国も地方自治体も作りはじめました。地方では従来から総務省方式で財務書類(バランスシートと行政コスト計算書)を作成してきましたが、平成20年度決算から新公会計モデル(基準モデル・総務省方式改定モデル)で整備するよう要請されています。しかし、両モデルは異なる様式であるため相互に比較ができず、また東京都は独自の方式で作成するなどいささか混乱気味です。自治体のアカウンタビリティを果たすためには、やはり全国で統一するよう早急に法律で整備する必要があるでしょう。

当日配布資料

講義用レジュメ(PDF)