2016年度のプログラムが終了しました(更新日:2016年12月21日)

公会計と健全化法を活かす

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講師:森田祐司(有限責任監査法人トーマツ パートナー)
講義日:2010年5月29日(金)
文責:福岡県大刀洗町 田中豊和(研修生)

「自治体財政の自立」というテーマに沿って、公会計、健全化法、監査という切り口でお話しします。従来、公会計は、企業会計と異なる方式で行われてきました。しかし昨今は、行政サービスの費用対効果を明らかにすることが求められるようになり、公会計も民間感覚に合わせていく必要がある、というのが今の公会計改革の流れであります。
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・制度改革を改革のチャンスと捉える
財政健全化法や新地方公会計など、新たな制度が導入される中、自治体職員は「無駄な事務が増える」ではなく、逆に「制度改革を行政改革のチャンス」と捉えることが必要です。追加資料の提出が求められれば、それを日常業務の改革に役立てるよう意識することが大切です。

・財政健全化法の本質と活用
財政健全化法は、夕張市の問題があった後に拙速に導入された制度ではなく、従来の財政再建団体制度の不備を改善するものです。市場(金融機関)による規律がはたらく環境になっても自治体財政が持続可能であるために、財政健全化を最優先課題として取り組まなければならない団体を明らかにして対処策を促すことを目的として導入されたものです。財政再建団体制度との根本的な違いは、自主申請ではなく実質的に強制適用されることにあり、非常に厳しい制度だと言えます。
みなさんの自治体も、早期健全化団体になっていないから安心、とは言いきれません。例えば、将来負担比率の算定においては最低限の将来負担額しか考慮されていません。インフラや施設の更新需要など、将来負担比率の算定では考慮されない将来の財政需要額にも注意する必要があるからです。また、業績の悪い第三セクターについても、損失補償契約のあるもののみ比率算定の対象にしています。それ以外の第三セクターでもその経営状況によっては自治体財政に致命傷を与える可能性があるので、注意して判断する必要があります。

・公会計マインドを身につける
今までの公会計は現金主義(現金の動きだけを記録)でしたが、これを発生主義(現金だけではなく資産や負債の増減を含めて記録)へ考えをシフトする必要があります。民間と異なり、自治体の資産はサービスを提供するためのものであり、基本的に利益を求めていません。したがって、サービスを提供する能力があるのかという観点で資産を計上していかなければなりません。また、見えるコスト(光熱費や維持管理費等)だけではなく、その他の見えないコスト(減価償却や将来修繕費等)まで含めて把握した上で、将来的にどういう財源で賄っていくかを考えていく必要があります。

・監査制度を活かす
財政健全化法においては、監査委員の健全化指標審査が重要となりますが、健全化基準に達しているかどうかの審査で終わらせては意味がありません。長期的かつ安定的に自立した財政運営につなげていけるよう、この指標を自治体財政の分析をする資料として使う視点で見ることが必要です。morita_2.jpg

当日配布資料

・ 地方財政の自立 公会計と健全化法を活かす(PDF)