2016年度のプログラムが終了しました(更新日:2016年12月21日)

地域ぐるみによる観光まちづくり

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講師:清水愼一(株式会社ジェイティービー 常務取締役)
講義日:2010年9月4日(土)
文責: 山口県周南市 宮崎正臣(研修生)

奥会津でわかったことJTB1.jpg
奥会津の只見町など7町村には、この20年間で電源振興の交付金が毎年3億円、合計60億円のお金が給付されました。只見町などはそのお金で様々な観光振興を行いましたが、ほとんど成果が上がりませんでした。この20年で「観光」が大きく変わったに旧来型の観光振興をしていたからです。
私は今、奥会津で観光振興のお手伝いをしていますが、行っているのは住民の担い手意識の醸成と連携づくりのための徹底したワークショップです。なぜなら、地域住民に観光客の受け入れる意識と態勢がないことには、箱モノを作ったり、イベントを行ったりしても全く効果がないからです。
また、奥会津では各町村から職員を一人ずつ派遣し、地域振興センターをつくりました。そこに電源振興の交付金を集め、地域振興を行う仕組みにしました。町村バラバラでは本当に住民のことを考えた地域振興ができないからです。
こうした活動を通じて分かったことは、既存自治体、既存組織の限界です。また、中山間地域といえども地域経営のビジネスモデルの可能性があること、ワークショップを行うコーディネーターや担い手など人材が重要であること、合意形成が困難であること、などです。これらのことは、都市部など、全ての地域に当てはまると思っています。

観光を基軸とした地域活性:「まちづくり」、「連携づくり」、「組織づくり」
観光は、どこにでもあるような箱モノやイベントによってではなく、その地域にあるものやそこに生活する人々の暮らし自体の魅力によって成り立ちます。これからは、人々の暮らしと観光を一体的に捉えた観光振興が求められます。
そのためにはまず、今の「まちづくり」を変えなければなりません。いくら地域に人を呼びたくても、住民の元気な暮らしを歩いて楽しめなければ、観光は成り立ちません。まちを楽しみながら、歩いて、飲んで食べて、お土産を買うことで、お客さんは満足します。車で来るお客さんはお金を落としてくれません。そもそも歩いて楽しめないまちは、住民が満足しません。早くからその事実に気づいたヨーロッパでは、車中心のまちづくりを脱却し人間中心のまちづくりを行っていて、パリやウィーン、バルセロナなどはトランジットモールなどを増やし、歩いて楽しい魅力あるまちづくりに取り組んでいます。
JTB2.jpg 次に、「連携づくり」が重要です。地域の産業と観光は一体となる必要があるため、観光協会と商工会議所、行政がばらばらに動いていてはダメです。地域の様々な人が連携するための合意形成が非常に重要です。問題は連携を束ねる人がいるかどうかです。
さらに、持続的な「組織づくり」「仕組みづくり」が必要です。外部のコンサルタントや行政に頼らず、住民が自立的に経営する、地域主体の「観光地域づくりプラットフォーム」組織を作らなければなりません。イギリスでは、こういった横断的な組織を作らない限り、補助金を出さないようにしています。

行政はまず、どこにでもある箱モノづくりイベントなどの旧来型の観光振興をやめてください。そして観光の実態を直視し、その中で行政が取り組むべき役割を見極めることが肝心です。私は、行政に地域における様々な人が連携をできる体制づくりを支援していただくことを期待します。