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全国に広がる地方議会改革 ~住民・行政・議会、三者の関係から見えてくるもの~

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講師: 中尾修(東京財団研究員、元栗山町議会事務局長)
講義日: 2014年5月17日(土)
文責: 石川県能美市 嶋田准也(2014年度参加者)

本講義の目的

0517_Nakao_1地方議会は自治体の条例や予算を決定する機関、すなわち地方自治体の「意思決定機関」である。その性格上、行政のチェック機関としての役割を持ち、とかく個別最適に陥りがちな行政を正すべく、二元代表制の一翼を担っている。しかし現実は本来あるべき姿からはほど遠く、住民のみならず、長(行政)や議会までもが議会の役割を正しく理解しているとは言いがたい。多くの自治体で議会そのものが機能していないのが現状ではないだろうか。

本講義では、北海道栗山町の議会事務局長として全国初の議会基本条例の制定に尽力した中尾修氏を講師に迎え、二元代表制における地方議会のあるべき姿と現状の問題点を整理する。同時に、住民と行政と議会のそれぞれの関係性、それぞれの役割を再確認することで、行政職員の依って立つところを明確にしたい。

同時に、住民と行政と議会のそれぞれの関係性、それぞれの役割を再確認することで、行政職員の依って立つところを明確にしたい。

 

 

講義内容

 
0517_Nakao_2●地方議会の仕組み〜住民は2つの意思を作る〜

 住民は首長と議会、執行と決定という、2つの意思を作ります。この微妙な「ズレ」が、二元代表制の優れたところです。このズレにより、2つの機関が民意を巡って是々非々の議論をするのが、本来の議会のあるべき姿ではないでしょうか。議員は部分代表かもしれませんが、機関としての議会は地域経営の一翼です。議会は意思決定機関であり、監視機能もあるため、議会にこそ本来、住民参加が必要ではないでしょうか。

●地方議会の役割
 二元代表制の一翼、意思決定機関として機能することは、議会が与えられた権限を行使することです。そのためには、議会、議員が住民に問うてみることが必要です。そしてそれが、地方議会としての自治の姿です。議会は機関として、民意を汲み取ることが首長より上手くなってほしい。本来は、民意という情報の優位性こそが、首長に是々非々で対峙できる武器であるはず。2000年の地方分権一括法により、国の事務であっても議会の議決が必要になりました。国という力に対して、住民の総意を見せるのが地方議会であり、地方議会は特に国と地方が対等・協力という意識を持つべきです。

●議会基本条例
 意思決定機関としての議会の役割を示したものが議会基本条例です。議会が住民と向き合い、説明責任と住民参加の確保のために、①議会報告会、②請願・陳情者の意見陳述の機会の確保、③議員間の自由討議の3つの要件が確保されている必要があります。②の請願・陳情者の意見陳述の機会の確保がなされていない条例が多い。「住民にとって」使い勝手がいいか、風通しの良いものになっているかどうかの視点が必要です。
 栗山町では条例施行から10年たって、やっと定着してきたかな、という感じ。報告会の内容が問われるようになってきています。議会基本条例の活動が進んでいけば、住民の議会参加が正に問われることになる。「住民以上の議会にはなり得ない」のです。

0517_Nakao_3●議会と首長、住民との関係
 繰り返しになりますが、議会と首長は是々非々が基本です。民意により執行側に意思を提示していくことこそ議会の役割です。住民と議会の関係は、徹底した情報公開と住民参加の機会を開くことがまず必要です。そして、住民の権利としての直接民主制の上に、議員は間接民主制の代表となっていることを忘れてはいけません。執行側の説明がなければ委員会が進まないのは議会としての体をなしていません。議員と執行側がやりとりばかりしないで、議員同士、議論をして合意を形成していくことが本来の議会の姿です。

●元行政職員として
 「住民が間違わないように私達は仕事をしている」。皆さんはそう思って仕事をしていないでしょうか?行政の執行は果たして住民が求めているものなのでしょうか?日本はあまりにも行政にお任せであるとしても、改めてみなさんの仕事を振り返って欲しい。
 また、議会は一般社会の縮図です。組織を優先するか住民に向くか、難しいこともあるかもしれませんが、本来の議会の姿を考えれば、執行側の皆さんは、もう一つの民意の代表である議会にちゃんと向き合うべきです。

 

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・ 「全国に広がる地方議会改革 ~住民・行政・議会、三者の関係から見えてくるもの~」
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