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住民・行政・議会、三者の関係から見えてくるもの ~全国に広がる地方議会改革~

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講師:中尾修(東京財団研究員、元北海道栗山町議会事務局長)
講義日:2015年5月17日(日) 9:00~11:30
文責:大分県玖珠町 藤原潤一郎(2015年度参加者)

◆講義のねらい

中尾さん

地方議会は自治体の条例や予算を決定する機関、すなわち地方自治体の「意思決定機関」である。

その性格上、行政のチェック機関としての役割を持ち、とかく個別最適に陥りがちな行政を正すべく、二元代表制の一翼を担っている。しかし現実は本来あるべき姿からはほど遠く、住民のみならず、長(行政)や議会までもが議会の役割を正しく理解しているとは言いがたい。多くの自治体で議会そのものが機能していないのが現状ではないだろうか。

本講義では、北海道栗山町の議会事務局長として全国初の議会基本条例の制定に尽力した中尾修氏を講師に迎え、二元代表制における地方議会のあるべき姿と現状の問題点を整理する。同時に、住民と行政と議会のそれぞれの関係性、それぞれの役割を再確認することで、行政職員の依って立つところを明確にしたい。

 

◆講義内容

1.二元代表制における地方議会
 人口減少社会を迎えた今日において、限られた予算の中での事業の選択と集中を厳格に行わなければ、自治体経営は成り立たない。日本の地方自治は、首長と議員を住民が直接選挙で選ぶ二元代表制をとっている。そのため首長と地方議会はそれぞれ住民の意思に基づき、自らの責務を果たす必要がある。
 しかしながら今日までの地方議会は、行政活動を監視する役割の側面が強く、意思決定機関としての機能が欠如している。今後は、住民自治の原則の下で「議会と住民」の関係が重要な要素になる。

M2Y_50092.住民の地方自治の参加
 地方自治体の意思決定には、住民の参加が必要不可欠であって、その前提として行政と議会の双方の徹底した情報公開がある。中途半端な情報公開では住民の参加はありえない。
 行政職員の中には、住民に対して情報を提供せず、意図的に、あるいは知らず知らずのうちに操作しているのではないだろうか。行政権の行使を当然のように思っているのであれば、見直しが必要である。
 地方自治では、住民による直接民主制の要素を取り入れた直接請求権が認められている。直接請求権の行使を悪い事だと考える風潮があるが、住民投票は民主主義の手法として必要なものである。

3.議会に対する職員の認識と問題点
 議会は二元代表制の下、チェック機能を持つが、今日まで議案の修正権や調査権をほとんど行使していない。また議案の提出権もあるが、ほとんどが首長からの提案になっている。二元代表制の仕組みからして、行政側からの市民参加のアプローチと議会側からの市民参加のアプローチの両方が必要であり、そうした双方の緊張関係を保つことによって健全な自治体運営が行える。

4.地方議会の今後の展望
 北海道栗山町議会は、全国に先駆けて議会基本条例を制定した。その根底にあるのは、議会への市民参加であって、それを促進させ、議員個人ではなく議会が集合体として意思を形成することを目的としている。そのためにも、住民に直接意見を聞き、地域の課題を議論する「討論の場」を議会活動として位置づけ、「報告会・意見交換会」といった形で制度化する。首長提案を修正する場合は、住民の意思なしに修正できない。住民参加が必要となる。首長提案に賛成の意思決定をした場合でも、それを明確に説明する必要がある。議会の報告は活動報告であって、何もしていないのであれば説明する必要がない。多くの地方議会で議会改革が行われているが、「何のために行うのか」を認識しないと形骸化する。二元代表制の下では、議会は必要不可欠な装置であって、議会が変わらなければ、今後の自治体運営は困難な状況になる。

◆参加者所見

藤原さん二元代表制の下では、行政、議会が双方に生産的な緊張関係の構築と住民参加が必要不可欠であると再度認識しました。グループディスカッションでの議論として、行政からの徹底した情報公開、説明が必要であると思いました。講義の中でご紹介いただいた「首長の提案案件に対する議会での議論、修正、否決等の発議依頼、あるいは住民自治を実現するための積極果敢な議会活動の展開と執行部及び議会の住民に対する責任を明確にする」といった片山善博元鳥取県知事の発言は、自治体職員としての心構えを表す言葉でした。

 

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