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(2014年度国内調査)女性パワーで元気な水俣づくり:ごみ減量女性連絡会議~熊本県水俣市~

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調査先:熊本県水俣市 沼田悦子(ごみ減量女性連絡会議)
日時:2014年6月28日(日)9:00~9:45
文責:福岡県大刀洗町 棚町佳奈 (2014年度参加者)

本調査の目的

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「まちづくりはそこに住む人々の『想い』から始まる」。

週末学校では、このメッセージを一貫して伝え続けている。この「そこに住む人々の『想い』」とはどのようなものだろうか。そして、そこからスタートしたまちづくりとは、どんな様相を呈しているのだろうか。

水俣病という苛烈を極める苦難を抱えながら、地域の自然や風土、そして人と人とのつながりを再起させ、新たな地域の価値を生み出し、人々が「ここ」に生きる希望を作ってきた熊本県水俣市。吉本哲郎氏(地元学ネットワーク主宰)によると、「水俣は魂の最も深いところが震えるまち」とのこと。本調査では、その地を実際に訪れ、混乱の渦中に身を置きながらも、地域の再生のために尽力し続けてきたキーパーソンらにお会いする。そして、対話や議論を通じて、彼らの地域に対する想いや哲学を肌で感じると同時に、この地域が発する熱量に触れ、真のまちづくりとはどのようなものなのかを探る。日々の生活の中に生まれた苦しみを背負いながらも、地域への想いを胸に歩み続ける人々に会い、自身の地域に対する見方や姿勢を見つめなおしてほしい。

以下では、環境モデル都市水俣のまちづくりを、市民の立場から長年支え続けている「ごみ減量女性会議」メンバーの沼田悦子さんにお話を伺った際の、参加者レポートを紹介する(国内調査全体については、こちらを参照)。

調査内容

取り組みがはじまった経緯
水俣市は平成5年から20種類のごみの分別をはじめた。導入当初は果たしてできるのだろうかと不安もあったが、環境のまちづくりの熱意によって、わずか半年で市民に定着した。それまでにはいろいろな行政の努力があった。各地域を回って、市民になぜしなければならないのか説明していった成果だと思う。平成5年に20種類分別によってはじまったごみの分別は、数回の見直しを行い、現在は24種類に分別。また、平成14年度からは、別に生ごみを分別し、たい肥化を行っている。

資源ごみのステーションは、市内に300か所ある。20種類の資源ごみを家庭からステーションに出せるのは、月に1回、時間も1時間に限られている。中学生も部活の合間をぬって参加している。水俣ならではの収集形態をとっていて全国的に高い評価を受けている。これはご近所づきあいがないとできないことではないかと思う。

さて、ごみ分別をしてリサイクルをすることは大切だが、もっと大事なことはごみを出さないこと。水俣市のごみ排出量を表す推移を表すグラフでは、水俣市で平成5年8月に資源ごみの分別がはじまって以来、徐々にその成果が表れ、分別前は1トンだったところが平成6年には8千トンまでになった。しかしその後、ごみはまた増えてきており、分別するだけではごみは減らない状況になってきた。

 

「ごみ減量女性連絡会議」を結成
gomikaigi2 そこで私たちは平成9年に「ごみ減量女性連絡会議」を結成した。可燃ごみに携わっているのは女性が多いということで、行政側から市民の女性の活動しているところに呼びかけがあった。その当時の環境課にいた方が今の吉本哲郎氏である。

「ごみ減量女性連絡会議」は市内の女性ばかりで構成された15団体の代表が集まったグループで、事務局は市役所の環境モデル都市推進課である。15団体のグループは全体で3,500名程度。会長や副会長といった役職は作らなかった。会議をするときは、議長と書記を行政がやってくれている。

これには意味があり、会長、副会長を決めると派閥に分かれて、長く継続していくのが難しい。また、会長一人に任せてしまい、会長だけが目立って他の人はただついていくだけでは面白くないということで、女性の心理を見抜いて吉本氏は決められたのだろうと思う。

 

まずは自分の家庭のごみ調査
活動として、まず家庭にごみを持ち帰らないようごみを減らすことでスクラムを組むことにした。まず行ったことは、余分なごみとなるものは何なのかを調べること。自分たちが毎日どのような買い物をしているのか、実際にお店に出向いて調査を行った。すると、普段買い物をしているときはあまり目につかなかったことも、ゴミになることを考えてみると、野菜や果物のトレイなど、過剰包装が大分あることがわかった。このような調査の結果、過剰包装とレジ袋をまず減らしていこうということに話が決まった。ペットボトルをリサイクルして作った、赤いジャケットを作り、私たちのユニフォームにした。

 

市、事業者、消費者で取り組む
・トレー廃止へ向けて調印
平成10年に65品目についてトレー廃止を決定。市、事業者、消費者の3者による調印式を行った。当時の市長が吉井正澄氏だった。平成12年度には第2次申し合わせを締結した結果、76品目に増えた。現在で多いところでは95品目でトレーを外して売ってもらっている。お惣菜などは衛生法などで難しいところもある。

取り組みによって売上が減ることが懸念されたが、行政からではなく同じ市民の目線ということもあり、出来ることからやってもらうことにした。話し合いばかりしても結果はでない。やってみて悪かったらやめればいい。それで実際にやってみたら、店側の売り上げは落ちなかった。レジ袋にかかる費用は他に回せるということで、店側もだんだん乗り気になっていった。

・エコショップ認定制度
環境にいい店づくりをしている店舗が増えてくると、市役所は市長が認定するエコショップ認定制度を設けた。この認定の調査は「ごみ減量女性連絡会議」が行っている。現在は13店舗を認定している。認定書は細かいところに分かれているが、あまり決まりを多く決め絞めつけないようにして、環境にいい店づくりを1店舗でも多く加入していただくためのしくみづくりとしている。大きく分けて5項目あるがその中で4つクリアしたら認定される仕組み。レジ袋の使用枚数やトレーの使用状況、店内の省ネなど環境に優しい店づくりを実践しているかを毎年調査する。定期審査を年に1回、レベルアップのための更新審査を3年に1回行っている。

・ごみ減量の周知
ごみ減らしの紙芝居を作って、学校や保育園で活用してもらっている。内容はなぜごみを減らすのかを私たちの活動を通して、子供たちにもわかりやすく14コマの紙芝居を無料で配布した。

・エコバッグの推進
平成10年に、エコバッグを全世帯12,000に配布し、キャンペーンを行った。店内に特設コーナーを作っていただいたり、商店街にのぼり旗を立てていただいたり、啓発に協力していただいた。この時、マイバッグ使用者を市内の大手スーパーで調査したところ、配布した当初は1割程度だったが、ちょっと啓発をすることで3割程度まで上がっていった。その後、高校生と一緒にマイバッグをよびかけるチラシの配布や、持参率調査の実施、先進地への視察を行ってきた。現在では約90%の方が持参している店もある。

・ボランティアで視察
レジ袋に関しては、富山や山形など数多くの先進地に視察に行っている。これらの旅費はすべて自費。私達の活動は、全てボランティアで成立っている。お金をもらいたい気持ちはあるが、今の行政ではそれを待っていては一生できないということ。そして、お金より得るものがあること、さらにこの事業で生活している人が一人もいないということだと私は思う。さらに、市民の意識を変えるために買い物中のお客さんや店員さんにマイバッグ宣言をしてもらった。私達の活動は楽しむことをモットーにしおり、堅苦しくならないで、皆が参加して楽しかったなというような取り組みに力を入れている。

・ゼロ・ウェイスト宣言
gomikaigi1 そして平成21年11月に開催した環境モデル都市フェスタで市、事業者、消費者の3者がレジ袋削減に関する協定を結び、レジ袋の無料配布取りやめやマイバッグ提供販売、ポスター掲示など、協定締結の店舗がそれぞれ推進するこを約束した。あわせて福岡県大木町、徳島県上勝町に続き全国で3番目となるゼロ・ウェイスト宣言を行い、ごみを限りなくゼロに近づけるライフスタイルを目指そうと呼びかけた。

これらの取り組みにより、マイバッグの持参率は格段に向上した。

 

活動してきて見えたもの
環境に関する活動は長く続けることなのだと思った。結果は急がず取り掛かりは早くがよい結果を生むのではないかと思う。

・更なる調査
更なるごみ減量に向けて、平成22年には活動の一環として、市民と行政が協働で環境モデル都市を進める「ゼロ・ウェイスト円卓会議」と一緒に、資源ごみステーションの調査を行い、ごみ処理の現状と課題を調査。調査の中で紙ごみの混入率が高いことが分かり、平成24年度はテーマを紙ごみの分別に絞った。

・紙ごみの減量に向けて
紙ごみについて調べていくと、製造過程や使用形態によっては同じ紙でも資源になるものとならないものがあることがわかり、これらをわかりやくすく周知するためのパネルを作成することにした。行政からは広報などを通じて文章的にしか周知されないので、それを見ても市民はわからない。だから、面倒で分別しないということが多いため、市民の立場に立って実際のものを見せて、あらゆる環境フェスタの中で啓発した。これは非常に好評で、市民の皆さんが分別方法を勘違いしているものも多く、このパネルで再確認していただいた。その他にも、環境モデル都市フェスタでエコバッグを作成し、教室を開催した。

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・ごみ処理見学
平成25年度は、私たちが出す生ごみがどのようになっているのか、問題点はないのかを調査するために、生ごみ処理場見学に行った。水俣市民から収集した生ごみをたい肥にしている工場を視察した。生ごみの分別については徹底していると思っていたが、フォークやスプーンなどが混入しており、生ごみとして出されていた。ちなみにごみ袋は、市の指定する生分解性のもので、ごみと一緒に分解され自然に還る。

・海辺のごみウォッチング
また環境モデル都市フェスタで行った「海辺のごみウォッチング」で拾ったごみをパネルにして、今後のイベントなどで地域の環境保全について考える材料にしていこうと考えています。

 

これからも主婦の目線で楽しく水俣のごみを減らしていきたいと思う。

質疑
Q.市民に負担をお願いしているようなものだが、このような取り組みは水俣市だからできたのか。
A.取り組み始めたころは、それは本来市役所がやることだろうといった不満が多くあったようだ。定着していったのは、最初は分けないと持っていかない状況で仕方なくだったと思うが、皆さんが覚えていき定着していった。しかし、現在は高齢者も増え、分けられない人も増えている。行政のこれからの対応としては、受け入れ側の問題も出てきているので制度の改善が必要。

Q.行政が担う事務局の役割は?
A.例えばキャンペーン何にしますか?と聞くと皆さんいろいろ意見を言って、事務局がチラシの原案を作って、みんなで話し合って作り上げていた。参加者がやりたいことをやっていた。

 

感想
地元の女性の力を生かした取り組みだと思う。女性でなければここまでできなかったことなのだろうと思った。あるもの探しは自然やものだけでなく、地元で生きる人の持つ力もあるのだと分かった。市民が自分の力を発揮できる場所を提供してくことが大事であると思った。

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